謹啓
香陽之候高堂愈禦清安奉賀候今回の総遷挙に
當り不自重ねて先輩及同志諸君の御推廰を殘
ふし衆議院議員候補者たることを承諾仕候御
承知の如く這般の解散は吾党同志の提出した
る夫の憲政の常道に背反する超然内閣不信保
案の将に犬多数を以て通過せむとするに当り
現内閣の乱暴なる非立憲的行動に遮られ遂に
茲に斯の一大不幸を見るに至りたるものなれ
は這回の総進挙に於ける朝野雨源の勝敗は實
に全く我邦憲政存亡の岐るゝ一大危機と謂は
ざるべからず不何が曩に全國同憂の士と共に
悪政擁護のため斷然政友曽を脱して滋賀縣政
反俱樂部を組織し尾崎前法相の事ゆる中正會
と行動を一つにし昨秋憲政會の組織せらるゝ
や更に進んで之れと合同するの挙に出でたる
は皆是れ憲政擁護の赤誠に出で終始一貫以て
斯の黴夷の發露ならざるはなし木立て而して
道生す不者は先づ憲政の基礎を確立して而ふ
て以て著々軍國多事の國政を料理し帝國の感
信を中外に宣揚せむ事是れ實に現代爲政の愛
道と確信し敢て諸君の御椎薦に酬ひむことを
期し候仰ぎ冀くば不肖の微衷を諒せられ貴下
の熱烈なる御同情を得て當選の榮を得度候間
何卒御賛成の上一臂の御援助被成下度切望の
主に不堪候先は右御依頼申上度如斯に御座候
大正六年三月
秋
上
島田保之助
前田与惣吉殿
貴下